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遣り方 〜倉庫を建てよう〜

建築物を作ろうとした場合、一番最初にやらなければならないのがこの「遣り方(やりかた)」と呼ばれる行程です。
要するに建物の位置出しなんですが、これと言って大した機材も持っていないので、出来るだけ手が掛からず 且つ、一人で出来るカンタンな方法で行いました。

 

必要な道具

 

いくらカンタンな方法と言っても、道具を一切使わない分けには行かないので、最低限必要な道具を考えてみましょう。
建築物の位置を出すという事はつまり、直角と水平をきちんと出せれば自ずと縦横水平の建物の位置が出ると言う事です。 なので、直角は「大矩(おおがね)」水平は「水盛り管」で測る事にしました。

 

大矩

 

大矩とはピタゴラスの定理を使ったでっかい直角三角形の定規です。
適当な材木に墨を打って作ります。 2m、1.6m、1.2mの長さでつなげば出来上がり。なんてカンタン。

後は実際に水糸を張って定規の墨をにらんで直角を出します。価格は、、500円程 度でしょうか?

 

水盛り管

水盛り管

 

水盛り管とは10mほどのチューブの中に水を入れたものです。
チューブ両端の水の水面はいつも同じで高さである事を利用して水平を出します。 写真の水平器君はDIYの国アメーリカ製の水盛り君です。

一人で出来るように(両端の水の位置を見るためのタダのチューブでは2人必要ですね。)中央にあ る覗き窓の中心まで水面が来ると「ピ~っ!!」という爆音にて教えてくれます。 ハイテクとローテクの見事な融合。価格は実売5000円なり。電池付き。

 

実際の施工

 

地杭打ち

 

さて、実際に初めて見ましょう。まず最初に、この辺に建物がくるであろうおおよその位置にオレンジの水糸を置きます。
これは杭を打つ為の大体の目安なので本当に適当です。所詮物置なんで、何をするにも適当です。

置いた水糸より5~60cmあけて周りに1.5~2mおきに「地杭」と呼ばれる杭を「掛け矢(カケヤ)」というでっかい木槌でガツンガツン打ち込みます。 ホームセンター製「杭」、一本150円也。

初めに四隅を打った後、杭同士を水糸で繋ぎ、それに沿って残りの杭を打ち込みます。
そうは言っても杭を真っ直ぐに打ち込むのはなかなかテクニックと根性が 必要なようで、ご多分に漏れずぐにゃぐにゃと曲がった感じで打ち込み終了。 ま、いいんです。
水貫さえ水平に留まってくれれば用は足すんです。所詮倉庫ですから。。

くい打ち

杭を打ち始めて分かったんですが、我が地所は整地してから3~4年経っていたので、十分すぎるほど締まっていました。
杭を打ち込むのにも一苦労。一発ですこっと入ってくれる事なんて無いのです。

何度もトライしては杭のさきっちょがぐにゃりと曲がる。先っちょをノコやナイフで尖らせてまたコツコツと叩くの繰り返し。
3~4回目でやっと無数の石をクリアして、ようやく杭が立つといった具合です。

そんな訳で、出来る事なら杭の本数は減らしたいところですが、あまりスパンが開きすぎると「水貫」という水平の指針になる板を張った時に、貫自身の自重に負 けて歪んでしまいますから、ここはセオリー通り1.5m~2mで打っておくべきでしょう。

杭がぐるっと回ったところで、水平を示す線を杭に書いて行きます。

 

水平を地杭に写す

 

5000円で買った水平器「ZIRCON」君を地面の低い位置に杭を一本立てて、釘で固定します。後はホースを引っ張り回しながら杭に印をつけて行きます。

これで一応の水平は出た事になります。完璧かどうかは知りませんが。

貫の画像

水平が出たのは良いのですが、これではタダの水平の目安にしかならないので、基礎の天端にあわせた位置にマークし直します。

 

基礎天端位置を地杭に書く

 

図面上ではGL+575ミリが基礎の天端になっています。これでは中途半端なのでGL+600に水糸を張るという事にして、基礎の天端は水糸より25ミリ 下がりと言う事にしました。

GLとはグランドレベルなので、本来なら地盤面でしょうけど、普通の土地ならば道路側が敷地より若干下がっています。
道路課に聞いたところ道路中央と道路端では2%、8M道路なので80mmの差がありました。もちろん中央部が80mm上がりです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

設計上では斜線規制の基準高を道路の一番高い位置で出す(らしい)ので、敷地と道路の境界線部分ではGL-80mmになります。

水糸の高さをGL+600にするので道路境界から680ミリの高さが基礎の天端になります。
高さの基準点は動かないものが良いらしいので、お隣さんのブロック塀と道路の境界を基準にしました。

そこに680ミリに切った木の棒を沿わせて、先ほどのZIRCONでこの棒にも同じく水平の線を引きます。この線と木の天端の差分だけ地杭に付けた水平の 線を上げます。

 

水貫をまわす

 

この線を水貫でつなぐと基礎の天端+25mmの水平のラインがグルっと一周回った事になります。

ここまでは言葉で書くとややこしいのですが、やってみれば単純な作業なので、一人でやっても実働4時間程度でした。

さて、基礎の天端が出たところで、動かないように筋交いを入れておきます。筋交いの効果はやっぱり絶大。見違えるように剛性感が出てきます。

 

水糸を張る

 

次は実際の基礎の中心線を水糸を張る事によって目に見えるものにします。
地面に書いても掘ってしまったら消えて無くなりますので、水貫の天端に立てた釘と釘の間に水糸を張り、空中に基礎の中心線を表現します。

初めに張る水糸は、道路境界線、隣地境界線等の寸法的に一番うるさそうな場所から張り始めます。

お隣様の壁際から距離を測り、水貫に鉛筆で書き込みます。
こうしておけば素人にありがちな「若干ずれてます(汗)」的な失敗も余裕を見ておく事で無くなります。道路や隣地に軒がはみ出たりしたら大問題ですが自分の 敷地側であれば誰も文句は言いません。

根切りの前

最初の水糸を寸法を測りながら張り終えると、後は大矩を使って直角を出しながら寸法に水糸を張って行きます。

全て張り終えたところで測ってみると3~5ミリの誤差があったようですが、まぁ初めてにしてはなかなか上手く行ったんではないかと。。
微調整して各部の寸法はビシっと出ました。この時ばかりは誰かにスケールを持ってもらった方がいいでしょう。
写真は水糸を張った後に、「根切り」と言う穴堀りの為の目安をスプレーで記したところです。

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